一龍旅館編 其ノニ


トイレもさっきの客室に比べると酷い有様だ。
トイレの床の様子を見る限りではトイレに詰まった物体は汚物では無く瓦礫や土のようだ。
便座も無く流石にここまで溜まるまで用を足す人もいないだろう。
便座やパイプはどこへ行ったのだろう。
そういえば客室1のトイレとは壁の色が異なる。
場所:客室2トイレ


客室2と客室3の間には隙間がある。
廊下の窓からその隙間を覗く事ができる。
窓の数を増やす為の構造だろうか。
場所:客室2と客室3の間にある隙間


三番目の客室だ。
左右対称になっただけで部屋の造りは同じ。
内容は変わらないと思うので詳しく調べずに次の客室へと進む。
場所:客室3


客室4は天井は剥がれ落ちていない。
天井が剥がれ落ちていないと必然的に床も綺麗になる。
この部屋の床は人為的に剥がされたように見える。
場所:客室4


廊下を出て客室4と客室5の間にある配電盤。
もう三十年以上も電気が通っていない。
使われなくなった機器はどことなく寂しげに見える。
場所:廊下の配電盤


一階はこの客室5が最後の客室となる。
この部屋でも特に何も感じられない。
場所:客室5


客室5を出て更に廊下を奥へと進む。
廊下の先は何かが詰まれて行く手を遮っているようだ。
右手には部屋があるのが確認できる。
まずは右手の部屋に行ってみる事にする。
建物の内部だと言うのに廊下の床は雨水でぬかるんでいる。
周囲から水の滴る音が聞こえてくる。
雨漏りがひどいようだ。
場所:廊下のホール入口付近


派手な壁紙に変わった配置の窓。
部屋の用途は分からないが雰囲気的にダンスなどの娯楽の場として使われていたのだろう。
首吊りロープは侵入者のただの悪戯。
取り合えず首を入れてみるが胸辺りに輪っかがあるので高さ的に首吊り自殺はできない。
場所:ホール


廊下に戻り更に奥へと進むと土砂の山によって行く手を遮られている。
これで一階の行ける所は全て周った事になるが正面玄関が見当たらなかったのでこの崩壊した先には本館があったのだろう。
進入した所が新館で鉄筋コンクリート造、この先にあった本館は完全崩壊している事から木造だったと思われる。
土砂の右上に少し隙間があるがそこから向こう側に行けないだろうか。
場所:廊下の崩壊部


隙間を調べてみるが残念ながら完全に塞がれている。
向こう側へ行く事は断念。
場所:崩壊部の隙間


一階は全て探索し終わったので二階へ続く階段へと向かう。
廊下の向こうに見える光は友人Sのライトの光。
客室側を探索していた友人Sが何か言っているようだ。
「足音が聞こえた。俺、二階に行くのはやめとくわ。」
「水の滴る音じゃないか?」
しかし否定する友人S。
友人Sは外で待機しているとの事なのでここから先は単独で向かう事にする。
一人で真っ暗な外で待機する方が怖いと思うのだけど友人Sにとっては旅館内にいる事自体が嫌なのだろう。
場所:崩壊部を背中に撮影


二階への階段にはドラム缶が置いてある。
廃虚ではドラム缶をよく見かけるが誰が何の為に運んでくるのだろう。
外に置いてある分にはまだ分かるが建物内に置いてあるドラム缶は謎だ。
場所:二階への階段


二階へ続く階段を昇る。
この辺りから突然、砂埃が増え始める。
とても息苦しい空間だ。
場所:二階への階段の踊り場


二階に到着した。
少し空気が冷たくなった気がする。
一階に比べると異様なほどに落書きが少ない。
まずは階段に一番近い客室から調べてみる事にする。
場所:二階の廊下



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