一龍旅館編 其ノ五


ベランダから客室13の内部を覗く。
何もいない。
反対側から見るとまた違った風に見える。
場所:客室13のベランダ


お風呂だ!
そう、これが「見落としていた点」である。
この時に初めて三階の客室のお風呂を見ていない事に気付いた。
このお風呂は客室13のお風呂。
次の写真を見るとお風呂場を無意識に避けていたのでは無いかと思ってしまう。
更にベランダを進み客室12のお風呂場を覗く事にする。
場所:客室13のお風呂


この写真の中央に写り込んだ不自然な光の玉は何だろうか。
タイルの反射でも蛇口の反射でも無ければ雨の反射とも思えない。
写真の専門知識に長けた人によるとこれほどの光度は鏡でも置かない限りはまず有り得ないだろうとの事だ。
タイルに反射したフラッシュよりも遥かに光度が高い。
もちろん鏡などは無かった。
三階に来てから感じていた視線や嫌な感覚の原因はこの光の玉なのだろうか。
この光の玉はまるで入浴をする為にここに来ているように思える。
ここで誰かが死んだ、というのでは無いだろう。
もしかしたらこの旅館は今でもまだ営業しているのかも知れない。
場所:客室12の風呂場


客室11を覗く。
これで全ての客室のベランダを通過した。
場所:客室11のベランダ


念の為、客室11のお風呂場も覗いておこう。
何もいない。
場所:客室11の風呂場


廊下に繋がる扉だ。
これで一龍旅館の内部を全て見終わった。
階段を降りて一階から外に出よう。
友人Sが雨の中で待っている事だろう。
場所:三階のベランダ


二階への階段を降りる。
場所:二階に続く階段


二階に到着。
場所:二階


一階へ降りる。
場所:一階に続く階段


一階に到着した。
間も無く出口だ。
場所:一階


出口に到着した。
傘を拾い外に出る。
場所:出口


友人Sと合流し来た道を引き返す。
何も着いてきていないか後ろを振り返る。
もちろん何もいない。
場所:一龍旅館の帰り道


一龍旅館のほど近い場所に右翼の街宣カーが放置されていた。
ガラスは割られて内部も荒れていた。
場所:一龍旅館の近くに放置された街宣カー


街宣カーの横に放置された右翼の廃車だが…。
後部座席の窓ガラスの左上に女性の顔らしきものが見える。
もしかして女将さんが我々のお見送りをする為にここまで着いてきたのだろうか。
それとも本当に憑いてきてしまったのだろうか。
悪意は感じられないので害は無いだろう。
もちろんその後もお払いなどには行っていない。
場所:放置された右翼の廃車




その後、我々は無事に帰路へと着く事ができた。
一龍旅館での数々の噂が全てデマだとしても今回の取材の写真を見る限りではここには何かがいると思わせるものが確かにあった。
入口ではお出迎えをされ帰りにはお見送りまでされて正に旅館さながらである。
本当に今でも営業しているかのようだ。
廃虚となった今でも尚、得体の知れない何かが宿泊に訪れているのかも知れない。
「またお越しになって下さい。」
そんな女将さんの声が聞こえた気がした。



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