旧総谷トンネル

所在地:三重県津市白山町
探索日:2003年8月20日

昭和46年,列車の正面衝突事故が起きた廃トンネル。
その事故により従業員,乗客ら25名死亡,255名負傷。
青山トンネル事故として史上に名を刻む。
単独で現地に足を運ぶも深い霧の為,潜入を躊躇。
意を決し潜入するが霧の為に撮影は困難を極めた。



三重県内では旧青山トンネルとして名の知れた心霊スポットである。
正しい名称は旧青山トンネルでは無く旧総谷トンネルという名前のトンネルだ。
旧青山トンネルというのも近くに存在するが実際に列車の衝突事故が発生したのは旧総谷トンネルの方。
旧総谷トンネルは単線だった頃に使用されていたトンネルで衝突事故から間も無く複線工事が進み新たにトンネルが設けられ廃トンネルとなった。
このトンネルに訪れた人の証言にはトンネル内部から女性のすすり泣く声が聞こえた、何かを引きずる音が聞こえたなどがある。
心霊スポットとしての知名度は高いが肝試しが目的の夜の訪問者は殆どいないらしい。
山に囲まれた田舎で市街地からかなり離れておりトンネルの所在地もあまり知られておらず何より軽い肝試しのノリで気軽に行ける次元のスポットでは無いからだろう。
深夜に旧総谷トンネルに訪れる人は恐怖感の麻痺した心霊ジャンキーか三度の飯より心霊スポットが好きな心霊スポットマニアくらいだろう。
…私がそのどちらかはご想像に任せます。

2003年8月20日、旧総谷トンネルの詳しい場所の情報を得たので今回は単独で取材を試みた。
果たして一人で深夜の廃トンネルに足を踏み入れる事ができるのだろうか。
女性のすすり泣く声なんか聞こえてきたらちびって泣いてしまいそうだ。
そんな不安はあったが考えれば考えるほど弱気になってしまうので取り合えず勢い任せで現地に向かう。
165号線を津方面から車で飛ばす事40分、東青山駅に到着した。
東青山駅から徒歩で旧総谷トンネルに向かう。




旧総谷トンネル編 其ノ一


近鉄の東青山駅。
既に終電を終えて駅は戸締まりに入っている。
駅の周りにはお店や住宅は一切無いので私以外に誰もいない。
東青山駅の目の前には四季の里と言う大きな公園がある。
県内の人なら小中学生の時に必ずと言っていいほど遠足で訪れる場所である。
青山は表向きはハイキングスポットとして知られている土地だが実は心霊スポットとしても非常に名高い土地なのである。
今回の旧総谷トンネル以外にも青山高原という場所でも心霊現象がよく起きるという事で地元では有名だ。
昼間に訪れると高原の高台からは360度山と緑に囲まれた絶景のパノラマを眺める事ができる。
昼と夜ではまったく異なる二つの顔を持っているのがこの青山である。
因みに写真に写り込んだ複数の光の玉は霧がフラッシュに反射したものだ。
場所:東青山駅


四季の里の案内地図だ。
このマップ上で言うと右下辺り、男の子と女の子が楽しくお話をしている所に旧総谷トンネルがある。
ほのぼのとした絵とは裏腹にこの場所にはおどろおどろしい空間が広がっているのだ。
場所:駅前の案内地図


旧総谷トンネルに向かって足を進める。
車は進入禁止との注意書き。
歩いてもすぐ行けるので車は必要無い。
場所:四季の里入口


暫く砂利道が続く。
右手には近鉄の線路がある。
場所:砂利道


案内標識を見つけた。
…!
何と丁寧に旧総谷トンネルの方向が示されている。
かなり拍子抜けした。
場所:案内標識


建物や街灯などは一切無いので周りは真っ暗だ。
案内標識で拍子抜けしたものの霧のせいもあってか雰囲気は十分に怖い。
場所:砂利道


暫く進むと前方に赤い反射板が見えてきた。
旧総谷トンネルの入口だろうか。
場所:砂利道


赤い反射板まで辿り着いた。
トンネルの入口では無かった。
注意書きでも書いてあるのだろうか?
消えかかった文字を良く見てみる。
踏…切…。
踏み切り?
注意書きでも何でもなかった。
夜間にロープの存在を知らせる為に身近にあった反射板を使っただけだろう。
近鉄が管理する土地だけあって至るところに鉄道関係のものが使われていそうだ。
場所:反射板


ロープを越えた瞬間、靴が地面にめり込んだ。
最近まで雨の日が続いていた為に地面はかなりぬかるんでいたのだ。
靴が10cm近くも埋まってしまうところもあった。
場所:ぬかるんだ道


ぼんやりと何かが見えてきた。
きっとあれが旧総谷トンネルの入口だろう。
駅から3分ほどしか歩いておらず思った以上に駅から近い場所だ。
場所:旧総谷トンネル手前


目的地の旧総谷トンネルに到着した。
ただならぬ雰囲気で既にちびりそうだ。
場所:旧総谷トンネル入口


外からトンネルの内部をライトで照らすと何やら白いモヤが漂っている…。
トンネル内部からは非常に濃い霧が発生していたのだ。
その深い霧はまるで侵入者を拒んでいるかのように見える。
風の吹き抜ける音がまるで人の唸り声のようにトンネルの奥から響いてくる。
トンネルからは冷たい空気が流れてきておりこの一帯は少し肌寒いくらいだ。
流石にこの中に一人で侵入するのは恐すぎる。
入口の雰囲気だけでも十分に恐ろしいのにこの中に入るなんて…。
「やめとこうか…。」
私は弱気になっていた。
場所:旧総谷トンネル入口


ちょっと柵を越えて中を覗いてみよう。
入ろうかどうか悩む。
普通でも怖いのにトンネル内部の深い霧のせいでもっと怖い。
場所:旧総谷トンネル内部



天井からは水が滴り落ちてきている。
ここで立ち止まっていると色々と言い訳を考えてしまい本当に足が進まなくなる。
…いいや、何も考えずに入ろう。
トンネル内部に入る事を決意した。
場所:天井


トンネル内に入ると深い霧に体を覆われた。
ライトの光は霧によって遮断され前も後ろも何も見えない。
別の世界に連れて行かれそうだ。
場所:旧総谷トンネル内部


よく見ると地面に車のタイヤの跡が付いている。
しかもそれほど古くない。
どうやらこのトンネルは近鉄関係者が今でも利用しているらしい。
世間的には廃トンネルだが利用されている以上は廃トンネルと呼んでいいのかどうか微妙なところだ。
しかしここは昼間でも相当不気味な雰囲気が漂っていると思われるので関係者もこんな所を通るのはいい気分では無いだろう。
無論、関係者であればここで衝突事故が起きて多くの死者が出た現場である事も知っているのだから。
場所:タイヤの跡



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