一龍旅館

所在地:大阪府貝塚市水間
探索日:2003年8月10日

三十年も昔に廃虚と化した旅館だが未だ健在。
オーナー自殺,火事,殺人説など様々な噂がある。
大型台風10号が大阪に上陸の最中の探索。
雨は霊的に影響を及ぼすのだろうか…
有り得ない写真を数枚撮影。



2003年8月10日、貝塚市に三十年以上も放置された廃旅館があるとの事で友人Sと取材に行く事になった。
取材当日、約5年ぶりの規模と言われる大型台風10号が大阪に上陸していた。
雨が滝の如く降りしきる夜の高速道路を慎重に車を走らせ現地へ向かう。
アクセスは車なら阪和自動車道の貝塚ICからすぐ、電車なら水間鉄道の水間駅から徒歩でも行ける距離だ。
目的地である一龍旅館は水間公園に隣接しているとの事だが夜中に行くと非常に発見しづらい。
現に我々は一龍旅館の発見に至るまで3時間以上も要した。
暴風の中を歩いている人もおらず場所の聞き込みすらできなかったのである。
3時間以上も暴風の中を歩き回り持参した傘も風によって壊れ身も心も疲れ果て半ば諦めかけていた。
しかし住宅地に迷い込み運良く戸締まり中の中年女性に場所を聞き出す事ができた。
170号線を水間観音から水間公園方面に歩くと水間公園を過ぎて直ぐフェンスの張られた池が見えてくる。
道路から見て池を挟んで向こう岸に一龍旅館が建っている。
月明かりすら無い夜だと道路側からは殆ど一龍旅館の姿を確認する事はできない。
池沿いには企業の事務所があり夜中でも人が滞在しているので池沿いからの進入は不可。
そのまま道路を進むと左手にグラウンドが見えてくるのでそのグラウンドから一龍旅館方向を目指して歩く。
瓦礫交じりの土砂などを越えて行くと目的地の一龍旅館に到着する。
三十年間も解体されずに残っているのは立地条件の悪さから土地の再利用ができないのが最たる理由だろう。
現地に到着した頃には夜中11時過ぎで間も無く日付が変わろうとしていた。

さて先にも述べたがこの一龍旅館はいくつかの噂がある。
オーナーの自殺説や火事説、殺人事件現場説、戦時中の死体置き場説などである。
これだけ複数の噂が飛び交っているという事は過去の事件を証明する記事が何も無いと言う事で全てデマである可能性が高い。
「ただの廃虚だろう。」
そう思っていたので現地では差ほど恐怖を感じる事は無かった。
だがその思いとは裏腹に現地で撮った写真には通常では有り得ないモノが写りこんでいた。
「ここには何かいる…。」
仮に噂がデマだとしてもそう感じさせるモノが数枚の写真に写っていたのだ。







一龍旅館編 其ノ一


水間公園に隣接すると言う情報のみで目的地の一龍旅館を探す。
既に3時間以上も暴風の中をさ迷っている。
流石に案内板には三十年前に廃虚となった旅館は記載されていない…。
場所:水間公園内の案内板


結局は親切な中年女性に場所を教えてもらい一龍旅館の場所を知る。
フェンスの向こうに池を挟んで一龍旅館が建っているとの事。
月明かりすら無い夜では肉眼でもその姿を確認する事は困難だ。
写真ではフェンスを越えた先には暗闇しか写らない。
場所:池を挟んで一龍旅館方向を撮影


池の横には「釣り禁止」の注意書き。
「見っけしだい現金10万円をいただきます。」
「つ」が小さいのは大阪弁チックにしたかったからだろうか?
そもそも案内をしてもらった地元の中年女性はこの池を釣堀と言っていたのだが…?
この池沿いは企業の私有地で事務所があるのでここからは進入できない。
場所:池の横の注意書き


池から少し歩くと左手にグラウンドが見えてくる。
このグラウンドの奥に一龍旅館まで続く道がある。
場所:グラウンド入口


グラウンドから一龍旅館を目指し少し進むとトラックが停めてあった。
一龍旅館を解体中というワケでは無さそうだ。
因みに写真に写っている複数の白い光の玉は雨がフラッシュで反射したもの。
霧や埃も同じくフラッシュで反射するとこのように写る。
このトラックを過ぎた辺りから一帯の空気が変わる。
一龍旅館が近いらしい。
場所:一龍旅館に続く道


闇の中からぼんやりと一龍旅館が姿を現した。
雨でぬかるみと化した土砂に靴を埋めながら更に進む。
場所:瓦礫交じりの土砂


ついに一龍旅館に到着した。
三十年の年月を経た旅館は意外にもしっかりと形を留めていた。
隣接する池からカエルや虫の鳴き声が聞こえてくる。
もちろんこの辺りには我々以外は誰もいない。
そろそろ日付が変わろうとしている。
私と友人Sは右手に見える勝手口らしき場所に向かう。
場所:一龍旅館裏


形は留めているものの窓枠は錆び外壁は薄汚く変色しており廃虚と化してからの年月は隠せない。
窓から視線を感じるがもちろん誰もいない。
草木を掻き分けて右手の入り口へ向かう。

※多数の方から二階の右の扉に、上半分だけの子供の顔が見えると報告がありました。
場所:一龍旅館入口手前


ここから内部へ進入できる。
この写真右手に不自然に輝く光が写っている。
まるで宝石のように強く輝いている。
今までの雨の写り方とは異なる光り方である。
全写真を通じてこのような光り方をしているのはこの写真だけである。
位置的にもそこに何かがあったとは思えない。
現実的に考えて可能性を挙げるなら雨の反射しか考えられない。
もしそこに非現実的なモノがあったとするならば…
出迎えか?それとも警告か?

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発光体ばかり目を捕らわれてしまい取材から約一年後に気付いたのだが…
発光体の上にある窓の右上に白い靄状の女性の顔らしきものが写りこんでいる。
女将さんのお出迎えであろうか…。
見易くする為、補正した拡大写真を用意した。

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また廊下の左奥には何も無かったはずの場所に子供の丈ほどの靄が見える。
写真に若干の補正を加えると明らかに不自然な靄がある事が容易に分かる。
子供の霊が廊下を徘徊しているのだろうか。

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この写真…危険過ぎる…。
これらの写り込んだ不自然なものが全て私達侵入者に対する警告であるとするなら寒気を感じずには入られない。
場所:一龍旅館入口


一龍旅館内部に侵入。
入口から直ぐ左に客室があったのでそこから調べる事にした。
見取り図で言うと客室1である。
床はかなり腐食しているようだが意外としっかりしており崩れる心配は無さそうだ。
足場さえ問題が無ければ思う存分に探索ができる。
さらにこの部屋を調べる。
場所:客室1


はめ込み式のシーリングが設置されていたのだろう。
シーリングを強引に引きちぎられたような形跡がある。
場所:客室1天井


部屋の入口からほど近い場所にあった個室に入るとそこはトイレだった。
廃虚となってからも時折利用されているのだろうか。
土か汚物か分からぬ茶色い物体が詰まっている。
中に入る必要も無い…というか入りたくないのでトイレを後にする。
場所:客室1トイレ


トイレの横の個室はお風呂だ。
お風呂の底や壁にはコケが生えている。
お風呂の底に妙な段差があって非常に入り心地が悪そうなのだが…。
この造りだと老人などが入浴するのは危険では無いだろうか。
斜面になった部分で足を滑らせ段差から落ちバランスを崩し転倒し丸く盛り上がったコンクリート部分で頭を打って即死。
そんな光景すら目に浮かぶ。
お風呂場を後にして次の客室へと向かう。
場所:客室1風呂場


入口から二番目に近い客室だ。
さっきの客室に比べ天井の腐食が激しい。
ただ外見とは裏腹に嫌な空気は感じられない。
場所:客室2



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