旧総谷トンネル編 其ノニ


壁の至るところから水が湧き出ていてコンクリートを侵食している。
所々にあるこういったシミが不気味な雰囲気を醸し出している。
場所:壁のシミ


何故、消火器が捨てられているのか。
衝突事故とは無関係だと思うが…。
侵入者が良からぬ事でも企んで持ってきたのだろうか。
場所:放置された消火器


フラッシュの光ですら霧によってかき消されてしまい遠くまで届かない。
地面もぬかるんでいて滑るので壁際を慎重にゆっくりと歩く。
壁や天井の所々に鉄道だった頃の面影がある。
場所:旧総谷トンネル内部


トンネル内に設置されている避難所。
列車が通らなくなった今では避難所としての役目は終えて瓦礫置き場となっている。
幽霊列車が来たらここに避難するとしよう。
場所:避難所


水と書かれている。
最初は水道でも近くにあるのかと思い探してみるが見当たらない。
トンネルの上に川が流れているという印かも知れない。
場所:旧総谷トンネル内部


架線が張られていたところだ。
今では架線は綺麗に取り外されている。
線路は使われなくなると架線もレールも全て取り外される。
場所:架線跡


制限速度標識だ。
列車の衝突時、一方の列車は時速60kmほどで走行していたのだろう。
もう一方の列車はブレーキが利かなくなり下り坂で勢いをつけ時速100km以上に達しレールから半分脱線した状態でトンネルに突入したらしい。
衝突時は時速40〜50km程度だろうか。
双方の速度を合計して時速100kmくらいだったとしても電車の重量を考えると相当の衝撃があったのだろう。
衝突の瞬間、青山全域に鈍い音が響き渡ったと言う。
緊急放送によって町の人々が呼び出されて救出作業が行われた。
脱線して速度が落ちた事が幸いと言えば幸いだったのだろう。
脱線せずにそのまま突入したら二倍以上は死者が出ていたかも知れない。
場所:速度標識


事故の痕跡だ。
衝突時に激しく弾かれた車両が壁を削ったのだろう。
この辺りが衝突現場で間違いないようだ。
ここで多くの尊い命が奪われた。
中には何が起きたか分からぬままこの世を去った人もいただろう。
私は手を合わせて死者の冥福を祈った。
場所:事故現場


反対側の壁にも削られた跡が付いていた。
場所:事故現場


これも事故当時の傷跡だろうか。
この辺りの壁は所々にこういった削られた跡が残っている。
場所:事故現場


これも事故の時のものだろう。
錯覚であって欲しいのだが時々、霧に混じって人の顔のようなものが見える。
写真には写りこんでいないので幻覚か…?
更にトンネルを奥へと進む。
場所:事故現場


この辺りの壁は完全に剥げ落ちている。
…!?
壁に血の跡のようなものが…。
血では無いと信じたいところだが…場所が場所なだけに相当不気味である。
血痕は何十年も消えずに残ると言う。
京都には何百年も昔の血痕が残った血天井があるくらいだ。
場所:旧総谷トンネル内部


三つ目の避難所だ。
出口が近いのだろうか。
川のせせらぎが聞こえてくる。
場所:旧総谷トンネル内部


トンネルを建設した当時につけた距離を示すマーキングだろうか。
建設当時はまさかこのトンネルで大事故が発生するなどとは思いもしなかっただろう。
場所:旧総谷トンネル内部


様々な物が置かれている。
どれもかなり昔から放置されているようでこれらが今後使われる事は無いのだろう。
場所:旧総谷トンネル内部


壁の色が不自然に白くなっているが何でだろう。
人為的にも見えるし自然に変色したようにも見える。
場所:旧総谷トンネル内部



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