旧総谷トンネル編 其ノ三


ここの避難所には鉄道関連の様々なものが置かれているがどれも錆びついている。
川のせせらぎがかなり近くに聞こえる。
出口が近いようだ。
場所:旧総谷トンネル内部


出口が目の前に現れた。
鉄の扉が設置されている。
鉄の扉は全体的に錆びついていて不気味な雰囲気を醸し出している。
場所:旧総谷トンネル出口


網が破られ人が一人通れるくらいの隙間がある。
そこから外に出てみる事にする。
場所:旧総谷トンネル出口


外から見た旧総谷トンネル。
またこの中を通って帰らなくてはいけない。
霧の発生源はこの辺りに流れる小川かららしい。
ここまで慎重に歩いて大体20分くらいだった。
危険な場所は無かったので帰りは少し飛ばして15分程度だろう。
場所:旧総谷トンネルの外


網の破られた場所から再度内部へと侵入する。
場所:旧総谷トンネル内部


ちょっと小腹が空いてきた。
来る途中のコンビニで買ったパンを持参したので食べながら入口まで戻ろう。
心霊スポットにパンを持参する癖は昔からである。
場所:旧総谷トンネル内部


地面には様々な物が落ちている。
これは踏切の遮断機に使われている棒だ。
場所:旧総谷トンネル内部


ペンキの缶は見事なまでに錆び尽くされている。
場所:旧総谷トンネル内部


ペンキとスプレーとインスタントコーヒーが並んで転がっていた。
インスタントコーヒだけが廃トンネルとマッチしておらず微妙に浮いている。
場所:旧総谷トンネル内部


いきなり等身大の白いシミが見えると少しドキっとする。
場所:旧総谷トンネル内部


よく見るとシミと言うより誰かがペンキをぶちまけた跡のようにも見える。
場所:旧総谷トンネル内部


早くも標識の所まで戻ってきた。
場所:旧総谷トンネル内部


トンネルの中心を少し過ぎた辺りだろう。
パンもそろそろ食べ尽くしてしまいそうだ。
暗闇で食べていたからかなり無茶苦茶なかじり方になってしまった。
場所:旧総谷トンネル内部


ひたすら真っ直ぐ歩く。
相変わらず深い霧に覆われている。
ずっと深い霧の中にいたのでまるで水を浴びたかのように服はぐっしょり濡れている。
間も無く出口だ。
場所:旧総谷トンネル内部


トンネルの出口が見えた。
無事に元の場所へ戻ってくる事ができた。
外に出よう。
場所:旧総谷トンネル内部


トンネルから出ようとした時、後ろの方から
「待って。」
と女の子の声が聞こえたので振り返った。
もちろん誰もいない。
トンネルの中はもちろんこの辺り一帯には私以外に誰もいない。
気のせいだったのだろうか。
トンネルの外に出ると霧も薄くなりやっと深い霧からも解放された。
私は再度、手を合わせ事故で犠牲になった人の冥福を祈り旧総谷トンネルを後にした。
場所:旧総谷トンネル入口




事故当時、私はまだこの世に存在しなかった。
しかしこの地で当時の傷跡を目の当たりにする事で事故の悲惨な光景が目に浮かんだ。
もちろん私などが事故の事を軽く口にしていい立場では無い事は重々分かっている。
生まれてもいなければ被害者や遺族の方と悲しみを分かち合ったわけでもない。
しかしこの地を知り事故を知った人間の一人としてせめて世代を越えてご冥福を祈らせて頂きたいと思う。
旧総谷トンネルはこれから先、崩壊するまで数十年間はこの地に存在し続けるだろう。
ただの心霊スポットでは無く世代を越えて当時の事故を知り得る掛け橋になれば幸いに思う。



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