八王子城跡 其ノ三
今までの橋より遥かに頑丈な造りの橋だ。
古く見えるが意外と最近に造られた橋。
場所:曳橋
橋を渡る。
中央に何か白い線が写っているが…
恐らく虫か砂埃。
場所:曳橋
橋を渡ると立派な石造りの階段があった。
場所:御主殿前階段
この門を潜ると御主殿跡らしい。
場所:御主殿跡門
門を潜った瞬間、全身に鳥肌が立った。
何処からか淀んだ空気が流れてくるのを感じた。
この一帯は明らかに今までの空気と違う。
ここまでの道程は暗くとも怖いとは感じなかった。
しかし、この場所では恐怖心に襲われる。
この一帯には何かがある…、本能がそう告げる。
御主殿跡は大きな広場になっている。
特にこれと言って目に付くものは無い。
15分程広場を探索したが何も見つけられず…。
私は来た道を帰ろうとした、が……
場所:御主殿跡
帰ろうとしたその時。
微かに誰かの声が聞こえた気がした…。
その声の聞こえた方を振り向くと…
そこには道らしきものがあった。
見つけ辛い道で危うく見過ごすところだった…。
場所:御主殿跡
近づいて覗いてみるとやはり道になっていた。
この先から微かに声が聞こえる…。
場所:御主殿跡
少し立ち止まって耳を傾けてみると…
何人かの女性が何か会話をしている。
こんな時間に、こんな場所で…
まさか肝試し?女性だけで?
場所:御主殿跡坂道
坂を下りると地図があった。
現在地は入口とはまったく反対側。
つまり一番奥まで来た事になる。
近くに道路や建物は無い。
この時間に女性だけで来れるような場所では無い。
じゃあ、今聞こえている声は…?
場所:御主殿跡坂下
声の聞こえる方に近づく。
よく耳を澄ますと…
女の子の声から年老いた女性の声まで、様々な声が聞こえる。
場所:声の聞こえる方へ
少し行くと立ち入り禁止の注意書きがあった。
どうやら川の方に繋がっているらしく、この先からはせせらぎの音が聞こえる。
その音に交じって確かに女性達の声も聞こえる。
間違いなく声はこの先から聞こえる。
声はかなり近いが姿は見えない。
場所:立ち入り禁止の看板
私は立ち入り禁止の注意書きを無視して先に進む事にした。
普段なら注意書きを無視してまでこんな何も無さそうな場所に立ち入る事などしないだろう。
しかし、聞こえてくる声はもう目の前。
確かめずにいられなかった。
場所:立ち入り禁止
行き止まりだ…。
立ち入り禁止の看板の先はすぐに行き止まりになっていた。
そして、今まで目の前で聞こえていた声はピタリと聞こえなくなった。
途中から声の主がこの世の者では無いだろうとは感じていたが…
目の前で声が消えた瞬間、私は寒気に襲われた。
もしかして、この先に見えるのは滝だろうか?
場所:行き止まり
とてもとても小さいが間違い無く滝だ。
まさか、ここがあの話に出てくる婦女子達が身を投じたと言う滝?
この滝の規模では身を投じるという表現は大げさ過ぎるが…。
しかし、私は間違いなく姿無き者の声によってここに導かれた。
場所:小さな滝
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